2017年10月4日水曜日

『ハミルトン』各曲紹介目次(更新版)

まとめて記事を発表してきましたが、8月の観劇旅行のまとめが終わったので、しばらくお休みします。何か面白いことがあれば更新するかもしれませんが、『ハミルトン』曲紹介は一旦休止です。で、ここまでの紹介をもう一度まとめておきます。

『ハミルトン』あらすじと全体構成

第一幕(登場人物、年表
1. Alexander Hamilton
2. Aaron Burr, Sir
3. My Shot
4. The Story of Tonight
5. The Schuyler Sisters
6. Farmer Refuted
7. You'll Be Back
8. Right Hand Man
9. A Winter's Ball
10. Helpless
11. Satisfied
12. The Story of Tonight (Reprise)
13. Wait For It
14. Stay Alive
15. Ten Duel Commandments
16. Meet Me Inside
17. That Would Be Enough
18. Guns and Ships
19. History Has Its Eyes On You
20. Yorktown (The World Turned Upside Down)
21. What Comes Next
22. Dear Theodosia
23. Non-Stop

第二幕(登場人物、年表
24. What'd I Miss?
25. Cabinet Battle #1
26. Take A Break
27. Say No To This
28. The Room Where It Happens
29. Schuyler Defeated
30. Cabinet Battle #2
31. Washington On Your Side
32. One Last Time
33. I Know Him
34. The Adams Administration
35. We Know
36. Hurricane
37. The Reynolds Pamphlet
38. Burn
39. Blow Us All Away
40. Stay Alive (Reprise)
41. It's Quiet Uptown
42. The Election of 1800
43. Your Obedient Servant
44. Best of Wives and Best of Women
45. The World Was Wide Enough
46. Who Lives, Who Dies, Who Tells Your Story

次の "34. The Adams Administration"からは本格的に結末への展開が始まりますね。4分の3ほど? 結構来たような、山登りと同じでここからきついような……。

2017年10月3日火曜日

ブロードウェイ・ミュ―ジカルの周辺 ― 36 Questions、BARS Workshop

『ハミルトン』人気でブロードウェイ・ミュージカルが盛り上がる中、その周辺でも新しい試みがたくさん出てきているようです。それとも、そうした試みの積み重ねが『ハミルトン』を中心としたここ数年の盛り上がりにつながっていると見るべきか……。どちらもありそうです。

"33. I Know Him"の記事でもちょっと触れた podcastミュージカルも、そうした試みのひとつ。タイトルは 36 Questions。内容がよいのもありますが、podcastというメディアもおなじみになってその分マンネリになってきた、その空気を打ち破って新しい可能性を追及している、と評価が高いようです。

36 Questions

『ハミルトン』ジョージ王役、『アナと雪の女王』クリストフ役などで人気のジョナサン・グロフ (Jonathan Groff)と、ジェシー・シェルトン(Jessie Shelton)が主演。最後にちょこっと登場する人物がいるのと、あと、飼いアヒルが鳴いているのを除けば、基本的に二人劇。グロフはさすがの安定感。シェルトンは Hadestown (ギリシャ神話のオルフェウス/エウリディケの話を下敷きにしたミュージカル)出演の若手女優[主演と書いていたんですが違いますね。勘違いでした]。ちょっと(というかかなり)問題がある女性をうまく演じています。作詞作曲・脚本はクリストファー・リトラー(Christopher Littler)とエレン・ウィンター(Ellen Winter)。podcast 3回分に分かれています。各一時間ほど。

タイトルの "36 Questions" は、心理学者が作った質問リストで、新しく会った二人が一気に親密になりたいときに使うらしい。こちら、『ニューヨークタイムズ』の記事があります。さらにこちらが、心理学者による論文。

The Experimental Generation of Interpersonal Closeness: A Procedure and Some Preliminary Findings

雑誌とかに載っている心理テストなんかよりは、はるかに根拠があるテストではありそう。ちなみに最初のいくつかを訳すと、

1. 世界中の人から誰でも選んでよいとして、あなたがぜひディナーを共にしたいと思うのは誰ですか?(Given the choice of anyone in the world, whom would you want as a dinner guest?)

2. 有名になりたいですか? どんなかたちで?(Would you like to be famous? In what way?)

3. あなたは電話を掛ける前に、あらかじめ何を言うかを練習することがありますか?それはどうして?(Before making a telephone call, do you ever rehearse what you are going to say? Why?)

4. あなたにとって「完璧な」一日にはどんな条件がありますか?(What would constitute a “perfect” day for you?)

といった具合。まあ、そもそもこんな突っ込んだ質問を時間をかけてすること自体、そもそも好意がないとありえないし、この後32問もあって、それだけ一緒にいりゃあ親密になるのは当たり前でしょ、という気もしますが……。

さて、ミュージカル 36 Questions、登場人物は(何も知らずに聞きたい人は読まないでくださいね)、

ジュディス・フォード[ナタリー] (Judith Ford [Natalie]):
ジュディスが本名だが、ナタリーという偽名を使い、ジェイスと結婚。以降、偽の経歴をつくりあげる。子供時代から色々苦労したらしい。iPhoneを使ってあれこれ録音を残す趣味?がある。

ジェイス・コンリー(Jase Connolly):
妻が偽名で、経歴も実際は違う人物であることが判明、ショックを受けて失踪。現在は子供時代を暮らした家が崩壊しかかっているのを改装中。親はレズビアンのカップル(the moms)。職業は教師。迷い込んできたアヒルを飼っている。

基本的にこの二人しか出てこない、二人劇です。あらすじ、

Episode 1
子供時代に住んでいた家を改装しながら暮らしているジェイスのもとに、ジュディスが押しかけていく。ちょうど嵐だったこともあり、ジェイスは不承不承ジュディスを家に入れてやるが……。
Episode 2
復縁を希望するジュディスが、始めて出会った時にもした「36の質問」を試そうとジェイスにもちかける。質問が進むうちに二人は悪くない雰囲気になっていくが……。
Episode 3
(ネタバレになるのでパス)

という感じです。あとは、設定として、ジュディスの iPhone (第一世代)に録音された音声だけで構成されている(一録音ごとに録音開始、終了の音が鳴る)、というのさえ知っていれば、ある程度の英語力があれば楽しめるのではないでしょうか。

若いカップルのくっついたり離れたりという話で、最近ヒットしたミュージカル映画 La La Land や、ミュージカル The Last Five Years(こちらもアナ・ケンドリック主演のよく出来た映画版がありますね)を想起させる。最近 podcast で聞いている Broadway to Mainstreet の今週の回は2000年代のミュージカルをとりあげていましたが、その中でホストのLaurence Maslon が、教えている大学のクラスでお気に入りのミュージカルを尋ねると、The Last Five Years をあげる生徒が多い、と言っていました。こういうのも人気、なのですね。

隅々まで気を配った、よく出来たショウになっていますが、もちろん舞台上演と比べて段違いに安上がり。ブロードウェイが興行収入的には調子がいい、その一方で製作コストが右肩上がりで、クリエイターにとってはストレスの多い環境になっている。しかも、才能はひしめいている、ということで、周辺を見ていくと、このように楽しめる試みが新しいかたちでたくさん生まれているかもしれません。

他の一例をあげると、BARS Workshop。このブログのどこかですでに触れたかもしれませんが、ダヴィード・ディグズ(ラファイエット/ジェファソン)と、スポークン・ワーズ・アーティストのラファエル・カサル(Rafael Casal)が代表で、役者や素人を集めて(サイトからアプライして選ばれれば、あなたや私も参加できるようです)、ラップで様々なジャンルからの作品を再解釈し、パフォーマンスにしていく、それを動画として最終的に発表する、というプロジェクト。現在、2回目までの作品が YouTube などで公開中。第3回もすでにワークショップは終了しているので、もうすぐ動画がアップされることでしょう。

上にリンクしたページにも出ていますが、ヒップホップMCのファロア・モンチもサポートで?参加していて、彼のちょっとしたパフォーマンスの映像が見れます。

Pharoahe Monch Spits about addiction

ちょっと頼まれてこれ、ですから、何というか、すごいです。

2017年10月2日月曜日

"33. I Know Him" from Hamilton: An American Musical

さて、ジョージ王最後の歌です。"7. You'll Be Back"、"21. What Comes Next?" に続いて3曲目。最後の歌ではあっても、最後の登場ではありませんよ。

<あらすじ>
ワシントン大統領辞任の報告を受けたジョージ王は、権力者が地位を自ら降りることが信じられずわが耳を疑う。次いで大統領の後任がかつて会談に訪れた小男のジョン・アダムズであることを知らされて爆笑。アメリカが混乱に陥るのを高みの見物しましょうと、舞台袖に。

このブログではジョージ王の前二曲は、ブロードウェイ・オリジナル・キャストのジョナサン・グロフの印象で訳しています。ちょっとオネエ風だけど、完全にそこまでいかない、ような。ただし、私が見た舞台のジョージ王は、『ハミルトン』オフ・ブロードウェイ上演時のオリジナル・キャストで、現在また復帰しているブライアン・ダーシー・ジェイムズ(Brian d'Arcy James)―復帰したときの「戴冠式」の映像がありますね。グロフより一回り年上のベテランで、大事なポイントはオネエ度がはるかに上(演技の話ですけど)。というわけで、ジェイムズ調で今回は行きます。

聞いたわよ、
ジョージ・ワシントンが権力を捨ててフツウの人になるんだって。
それってマジ?
そんなことが人間に出来るなんて考えたこともなかったわ。
でもヘンよねえ、
これからもずっとリーダーをとっかひっかえするつもりかしら?
だとしたら、次は誰?
あの「国」にワシントンと同じぐらいの格があるやつ、他にいたっけ?

国、にカギカッコがついているのは、舞台でジェイムズが、引用符(” ”)を表すしぐさ(両手を前に上げてチョキを出して、伸ばした指をくいくいと曲げる)をしていたから。歌い方も "country" に強調が入っていますね。つまり、私はあんたらのこと、国だなんて認めてないからね、ということ。

ここで伝令がやってきたジョージ王の耳に何かを囁く。見た舞台では、一度聞いてから、"What?" と大声でもう一度聞き直していました。

ジョン・アダムズ?!
知ってるわ。
嘘でしょ。
あのチビの男、会談に来たわよね。
もうむかしも大むかし、
いつだった、85年?
お気の毒ね、あいつ生きたまま食われちゃうわ!
大洋が盛りあがり、帝国は没落する。
ワシントンと並べると、どいつもこいつも小物よね。
こっちで一人
あいつらがてんてこ舞いするのを見物しようか、
仲間割れして、お互いを引き裂き合うのをね。
ほんとにまあ、こりゃあ見ものだわ!

「ジョン・アダムズ大統領」だってさ。
グッド・ラーック!

「チビ」のところで笑いが起きていたけど、アダムズ=小男、というのは定番ネタなのかな? 『ハミルトン』では名前が出てくるだけで登場しないのも含めて、ちょっとアダムズは可哀想な感じ(モンローのように名前さえ登場しない重要人物もいますが……)。ともあれ、ジョージ・ワシントンは、アメリカ合衆国の内から見ても、外から見ても、まさに大黒柱だったわけで、歴史はふたたび "What Comes Next?" な局面に入りました。

演出では、この曲ではジョージ王は奥に帰っていかず、舞台の向かって左端に移動、召使が置いた椅子の位置が悪い、と置き直させて、どすんと腰を下ろします。そのまま、次の曲はそこに居て……。ジェイムズはいかにもコメディアンという感じでしたね。歌もすごく(当たり前ですが)うまいのですが、二枚目で長身のグロフが演じるほうが面白いだろうなあ……。グロフは、ジェイムズは天才だから真似できない、自分自身のスタイルを作る必要があった、とインタビューで言っていましたが、グロフのスタイルを他の人が真似るのも無理かもしれません。

余談ですが、ジョナサン・グロフといえば、podcast での初の?本格ミュージカル 36 Questions が話題になっていますね。

36 Questions — Two-Up - Two-Up Productions

聴いてみましたが、いろいろ工夫があって面白いです。音声だけで、3時間ほど。結構集中力が要って、続けて聴くと疲れました。とはいえ、始めると途中でやめられない展開。英語は歌の部分も含めてとても聞き取りやすいですので、ぜひお試しください。

2017年10月1日日曜日

ミュージカル観劇記(6): Spamilton: An American Parody

今回の旅で観たミュージカル、最後は Spamilton: An American Parody。書くのは最後ですが、実際は観たのはこれが最初でした。飛行機で夕方NYに着いて、宿に荷物を置き、すぐに劇場へ。到着が開演ぎりぎりになってしまった。小さな劇場で助かりました。


Spamilton、『ハミルトン』ファンならもうご存じかと思うのですが、タイトルからも分かる通り、『ハミルトン』のパロディ・ミュージカル。もっと正確に言うと、『ハミルトン』とそのクリエイターであるリン‐マヌエル・ミランダを中心とした、現在のブロードウェイについてのパロディ。『ハミルトン』以外にもロジャーズ&ハマースタインやソンドハイムなどの古典やディズニー・ミュージカル、最近の In the Height や The Book of Mormon からも大量に引用があって、ブロードウェイ/ミュージカル通ほど笑えるはず(私自身がどの程度わかったのか、どうも自身がないですが)。

クリエイターはブロードウェイ・パロディを1980年代初めから作りつづけているジェラルド・アレッサンドリーニ(Gerard Alessandrini)。トニー賞でも、従来のカテゴリーに入らない貢献を顕彰する Tony Honors for Excellence in Theatre を獲得しているのに加え、その他の賞も多数受賞している実力派。ヒップホップ・ミュージカル『ハミルトン』も、見事にラップ調を再現して(古典的なミュージカルをネタにしてきたアレッサンドリーニはそうとう苦労したようですが)、パロディにしています。

会場は Puerto Rican Traveling Theater。『ハミルトン』の劇場 Richard Rogers Theater からもお隣の通りで、ほど近いところ。劇場サイズはただし、比べるのがちょっと、というほど小さめです。劇場サイズよりも、さらにステージが超狭くてびっくり。直前にチケットを購入したのでどうかなと思っていたのですが、最前列!でした。喜びかけて、座席に座ってみるとステージが頭頂より上(笑)。首が痛くなる角度で観ることに。ただし、パフォーマーからはほど近い位置でかなりの迫力。演技、歌のレベルの高さを間近で見れて幸運でした。

舞台セットは……、ほぼゼロ(笑)。黒いカーテンが前面にかかっていて、舞台の奥行きは3メートルほど(もあったかな?)。カーテンの隙間からちらちらと、音楽監督とピアノが見えます。音楽監督、というか、演奏はピアノだけなんですけど(笑)―OBCアルバムも同様です。舞台真ん中に、『ハミルトン』のマークをパロディにした Spamilton のサインがかかっている、それだけ。劇中、小道具はたくさん(徹底してチープなやつが、笑)登場しますが、それにしてもシンプル。


始め、オバマ夫妻が寝室に入る前に『ハミルトン』のアルバム(それもLPレコード盤)をかけるという寸劇が、ちょっと下ネタ入りで……。そこから、一曲目、"Lin-Manuel as Hamilton" が始まります。バーが突っ込み役で、他のキャラクターがボケまくる、という箇所が多くて、ちょっと吉本新喜劇だったかも。

内容としては、ブロードウェイの「革命児」リン‐マヌエル・ミランダが『ハミルトン』を生み出して大成功を収めていく過程を描いています。面白おかしく描いていますが、ミランダがほとんど死にかけていたブロードウェイ・ミュージカルを再生させた、という『ハミルトン』およびミランダ礼賛といえば礼賛。30年来のブロードウェイ・インサイダーのアレッサンドリーニですので、ブロードウェイの『ハミルトン』評の典型だと考えてよさそう。

パロディとして俎上にあがるのは『ハミルトン』の楽曲にとどまらず、古典から近作までとりあげられています。『パリのアメリカ人』と『アメリカン・サイコ』を合わせて American Psycho in Paris、『ライオン・キング』と『王様と私』を合わせて Lion King and I にしてみたり。『イントゥ・ザ・ウッズ』のパロディでは、ブロードウェイ・ミュージカルの(ちょっとご高齢になった)ディーヴァたちが、魔女ではなくて物乞いの老婆になって登場します。

ジョージ王の代わりに "a queen"、つまりドラッグクイーンが現れて、マッチョな『ハミルトン』でブロードウェイのゲイ・テイストが薄まると心配したり、『ハミルトン』のヒットで割りを食った代表格、『ブック・オブ・モルモン』出演者が嘆き節を歌ったり。この辺りは分かりやすくて、私もたっぷり笑えました。ハミルトンの "24. What's I Miss" に当たる第2幕の1曲目、"What Did You Miss?" では、ダブルキャストや急な展開についていけない老ブロードウェイ・ファンがステージに迷い出てきたりもします。なるほど、アメリカの観衆も、『ハミルトン』に戸惑っていたりするんだなあ、と。

ミュージカル史の展開?で重要なのは、スティーブン・ソンドハイム役が登場する曲"Ben Franklin, Sondheim & Lin-Manuel"。Lin-Manuel as Hamiltonがアドバイスを求めてSondheim as Franklin を訪ねると、ラップは止めておけ、とか、言葉を詰め込みすぎるな、などと基本セオリーをソンドハイムが並べていく。ですが、ソンドハイム自身のミュージカル『カンパニー』からの曲 "Another Hundred People" のパロディがかかって、あなたも言葉詰め込みすぎじゃいですか!となる。ミュージカルにヒップホップ詩学をもちこんだミランダを茶化しているような、革新性を讃えているような……。まじめに解釈すると、『ハミルトン』はヒップホップとミュージカルを融合させたわけですが、それは同時にミュージカル作詞の歴史上の展開でもあった、ということかな。

他にも笑えるところはたくさんありましたが、結末に向けてブロードウェイは不滅です、という賛歌になっていくのはご愛嬌。強烈な風刺とか毒舌みたいなのはあんまり入っていなかったですね。『スクール・オブ・ロック』が Something Rottenにひっ掛けてかなり落とされていたぐらいかな。ああ、ディズニー・ミュージカルやイギリス産のミュージカル(フランク・ロイド・ウェバーの作品とか)はブロードウェイ・ミュージカルではない!というのも節々で強調されていた。このブログのこれまでの記事でも、ミランダがブロードウェイ・ミュージカルの救世主と見られていることを書きましたが、Spamilton はその評価に則って作られていますね。

パフォーマーの力量は本家『ハミルトン』にも劣らないすばらしいものでした。キャストが少なく、またコメディセンスが必要であるなど、こちらのほうが大変なところもたくさんありそう。ピアノひとつで曲調を再現してみせていたのも見事でした。パロディでもパフォーマンスの質が落ちない、というのは、アメリカの演芸の層の厚さですね。でも、コメディは外国人にとっては(特に文化的背景が必要な言葉遊び系のコメディは)全体ついていくのは大変。周りの笑いの量とくらべて、自分が笑う量が明らかに少ないのがちょっと寂しかったです。

下は Come From Away の終演後。観たかったけど、Dear Evan Hansen Come From Away は着実な人気のようで当日チケットはなしでした。結局、この二つは今でも上演が続いていますね。The Book of Mormon もちゃんと復活しています。


Hello, Dolly! のようなリヴァイヴァル古典ミュージカルとか、いかにもブロードウェイ・ミュージカルの War Paint なんかも観たかったところでしたが……。あんまり欲張ってもね。Hello, Dolly!、トニー賞を主演女優賞を受賞したベット・ミドラーに代わって、現在は、バーナデット・ピーターズ(Bernadette Peters)―ソンドハイム作品の常連だった名ミュージカル女優―が主演をつとめているみたいですね。ピーターズは Spamilton では本人が見たら怒りだしそうな扱いをされていました(何かあったのか? この辺り、ブロードウェイ内幕ネタなのかなあ……。まあ、全体がそうといえばそうだけども)。


もう一つ、観ようかなと迷った作品、Waitress。大きな広告は出さず、ウェイトレス姿の女性によるチラシ配りや下のような小さな空きスペースのポスターで宣伝。地味だけど、こういうショウが、もしかすると、いちばんのロングランになるかもしれませんね。 現在の主演は作詞作曲のサラ・バラレス(Sarah Bareilles。名前、この読みでよかったっけ……、バラレス、バレレス、ブラレス、えー、こちらで聞いてみてください、笑)。


というわけで、今年8月の旅行でのミュージカル観劇記はこれでおしまいです。次にブロードウェイにいつ観に行けるのか……よく分かりませんが、その時までに、アレッサンドリーニのパロディに全編ついていけるようにミュージカル脳を鍛えておこうかと思います。

いやー、それにしても大ぜいたくをしてしまった。これからも、リン‐マヌエル・ミランダ、ティム・ミンチン、デイヴ・マロイという輝かしい三つの才能と、その周辺の人々(ざっくりですみません)の動きを追いかけていれば、傑作ミュージカルを見続けることができそうです。それがいちばんのぜいたくですね。