大盛り上がりの前曲 “3. My Shot” からクールダウン。最初の3曲で強引に作品世界に引き込まれた後で、オーディエンスとしても一息というところ。といっても、次の曲でまた大盛り上がりになるのですが(笑)。『ハミルトン』ではハードな曲、しっとりとした曲、楽しい曲、笑える曲と、ヴァラエティが広い楽曲をうまく構成していて、だから “sung-through”の形式でも飽きないのですね。
あらすじ:
“3. My Shot”で意気投合したハミルトン、ローレンズ、ラファイエット、マリガンが酒杯を重ねながら、今晩のことがのちのちも語り継がれるだろうと盛り上がる。
4人が輪唱のようなかたちで歌いますが、ここでは内容だけをまとめます("freedom"のところをローレンズが歌いだす、といったふうに、キャラクターによる役割もたぶん重要ですが・・・)。
I may not live to see our glory. But I will gladly join the fight. And when our children tell our story. They’ll tell the story of tonight./
Let’s have another round tonight. /
Raise a glass to freedom. Something they can never take away, no matter what they tell you. Raise a glass to the four of us. Tomorrow there’ll be more of us, telling the story of tonight.
自分たちの栄光を見るまで生きられないかもしれないが、喜んで戦いに身を投じよう。後の世代が俺たちの物語を語るときには、今夜のことを語り草とするだろう。/
もう一杯ずつ行こうぜ。/
自由に杯を掲げよう。俺たちから自由を奪うことは誰にもできない、やつらが何と言おうと。俺たち4人に乾杯。明日には、仲間はもっと増えて、今夜のことを語り草とするだろう。
個人が「歴史」を作っていくという意識、そこでいちばん重要なのが誰にも奪われない「自由」。『ハミルトン』がアメリカ人にアピールするところは、ここですね。逆に言えば、他の国の人間にとってこのミュージカルに完全に乗れないとしたら、こうしたアメリカ的価値が露骨に出過ぎているところかもしれません。私自身も、そんなおおげさなことより、日常の小さな善のほうがじつを言うともっと大事なんじゃないの、って思わないではないので。まあ、なんてったって、作品の副題が An American Musical ですからね。
そして、作品全体のメイン・テーマ、「自分の生(遺産)が後の世にどのように語られるか」がここでさりげなく、しかし明瞭に示されています("1. Alexander Hamilton" にもすでに、"When America sings for you ~"という個所がありました)。これ以降、"history"、"legacy"、"narrative"といった語とともに、このテーマがくりかえし登場してきます。
シンプルで短い曲なので、替え歌にすればいろんな場面(お酒の席?)で活用できそうです。というか、何曲かあとですぐ、替え歌が登場するんですけれどもね。
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