ひとつは、The Drama Book Shop。タイムズ・スクエアからもほど近い、40 St. の7番街と8番街の間にあります。演劇・ミュージカル関連専門の本屋さん、1917年創業の老舗です。
ミュージカル台本から研究書までさすがの品ぞろえ。今はインターネットで日本から本を簡単に取り寄せられる時代ですが、棚に並んでいる本を見ているといろいろな発見があります。店内には熱心に本のページをめくるお客さんの姿(ゆっくり座れる椅子もあります)。何より心強いのが、店中央のカウンターでコンピュータ前に座っている店員さん。いかにも知識豊富という感じで、声をかけるとしっかりと対応してくれます。今回、しばらく探し回っていたミュージカル台本があったので質問させてもらったのですが、即座に、「そのミュージカルは有名だけどめずらしく正式な台本が出版されていないんだよ」と返答が。しかもリンカーン・センターの New York Library of Performing Arts なら所蔵しているかもとアドバイスをいただきました。親切。
こちらでは今回は数冊購入。そのうちの一つが Natasha, Pierre, and the Great Comet の台本。旅行中でも重くないような小さい本なので買ったんですが、オフブロードウェイ上演時のもので、ブロードウェイ版では大きな売りになっていた "Dust and Ashes" が抜けていました。ブロードウェイに移るときに、スターのジョシュ・グローバンが入るというので、彼にスポットライトが当たる曲をということで書き足した曲なんですね。Natasha, Pierre, and the Great Comet についてはブロードウェイ版の立派な書籍も出ているので、やっぱりそっちも欲しいなあ、と。
The Drama Book Shop にはウェブサイトを通じても問い合わせができます。店舗ではさまざな催しも行われているようです。ブロードウェイ歩きに疲れた時、観劇にまで間があるときにおススメです。
もうひとつの場所は、このThe Drama Book Shopで薦めてもらった New York Library of Performing Arts (Lincoln Center)。ブロードウェイからはちょっと離れていますが、地下鉄に乗るとすぐ(あるいてもブロードウェイを北にずっとたどっていけばその内にはつきます、それなりに時間がかかりますが、笑)。66th St.駅下車。音楽・舞台芸術の殿堂ということで、地下鉄ホームからちょっとアートな雰囲気。
地上に出てから、周りの通りや敷地内にもたくさん芸術作品があります。下は個人的に好きな彫刻家ヘンリー・ムーアの作品。建物とのバランスもいい感じ。
しかしリンカーン・センター、でっかいですね。数ブロックに渡っています。ちゃんと調べて行けよ、って感じですが、適当に入ったらジュリアード音楽院の建物でした。ジュリアード音楽院ショップがあって、たくさんグッズが並んでいた。オペラ関係の資料はたくさんありましたが、ミュージカル関連はほとんどなかったです、残念。『ハミルトン』関連は(売れるからでしょうね)ちゃっかり並べていました。
というわけで、ブロックを移動。これが New York Library of Performing Arts の入口。アメリカの公共の建物では入るときにたいてい手荷物検査がありますが、こちらもそう。たまに何度か出入りするときはめんどくさいですよね。同じ係員の人に何回もだと、なんとはなしに気恥ずかしい気がするのはなぜでしょう? あっちはそんなこと気にしないでしょうけど。
エレベーターで上(何階だったっけ?)に、そこで手荷物を預けて資料室に入ります。カウンターにいる方に声をかけると、懇切丁寧に手続きのしかたを教えてくれる。今回はビジター用のカード申請、ついでに探しものを伝えたらその資料の場所、閲覧法まで、手続き用コンピュータまでついてきて教えてくれました。こういう場所になれてない人は怖い?雰囲気かも知れませんが、司書の方はプロなのでプライドをもって対処をしてくれます。コマーシャルな場所よりサービスがいいことが多いですね。
今回は、正式に出版はされていないけれど制作者がこちらのライブラリーに送ってきた台本を閲覧するのが目的(ちなみに、Bloody Bloody Andrew Jackson)。申請をして、奥の閲覧室へ。閲覧室へはペン、ノートの持ち込みは禁止、でも、カメラやスマホはいいよ、というので、ちょっとびっくり。メモは据え置きの鉛筆と紙を使うとのこと。台本は写真撮影OK!なので、一度外に出て、預けた鞄に入れておいたタブレットをとりにいく(この後、冷房が寒かったのでシャツをとりにいき、荷物預け場の人と入口に警備の人にまた来ましたで、また来たの、というやりとり)。
閲覧室のコンピュータ画面に番号が出たので、資料を受け取りに。閲覧した資料は紙のファイルに、閉じられていないタイプ原稿のコピーががさっと入っている、というざっくりとしたものでした(落としてバラバラになったらどうしよ、という感じ)。ブロードウェイやその周辺で上演された演劇、ミュージカルの台本や映像は制作者によってここに送られて所蔵されることが多いようですが、その形式はいろいろなようです。撮影OKですか、ありがたいので喜んで、と撮影。隣りのおじさんも本格的なカメラで資料を撮影していました。
他、映像資料や音声資料も多数あります。すべて無料で閲覧可能。大学や研究機関のライブラリーに慣れていない人にはちょっと敷居が高く感じられるかも知れませんが、見逃して、もう見られないのかなあ、と思っているミュージカルもこちらに行くと、少なくともその一端には触れられるはずです。時間があれば、本格的に入り浸ってみたい場所です。(そういえば、どこかのイベントの映像で、リン‐マヌエル・ミランダがミュージカル作家希望者へのアドバイスを聞かれて、ニューヨークに住んでいたら New York Library of Performing Arts のような素晴らしい場所があるのでどしどし活用すべきだ、と答えていたことを思い出しました。)
ニューヨークは舞台芸術の都ですが、実際の上演だけではなく、このようなところにもその文化的厚みというのがあるのだなと実感した、書店とライブラリー訪問でした。
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