2017年3月13日月曜日

”16. Meet Me Inside" (from Hamilton: An American Musical)

"15. Ten Duel Commandments"で響いた銃声の結果は―ーローレンズの弾がリーの脇腹に命中し、リーが降参。幸いにも命に別状はなく収まったようで、まあ、それほど悪くない結末か・・・、となったところで、ワシントン将軍再登場の”16. Meet Me Inside"。

<あらすじ>
止められていたにもかかわらず決闘騒ぎを起こしたハミルトンはワシントンに呼び出され、戦況を悪いくしただけだと叱責される。ハミルトンは秘書役にとどめられて戦場に出られない不満をぶつけ、「息子よ son」と呼びかけるワシントンに反発して激高。ついにワシントンから自宅謹慎を命じられる。

10歳の時に父親が出ていってしまって、父子関係が十分に体験できなかったハミルトンにとって、父親代わりになりそうな人物、そしてそれを十二分につとめてくれそうな人物がワシントン将軍。ただし、ハミルトンのほうは、ワシントンの父親面が癪にさわる様子。プライベート、とくに家族といった領域でうまく振る舞えないハミルトンの弱みは第二幕まで重要なテーマとして展開されていきます。しかし、

[Washington] Hamilton, meet me inside.
[ワシントン] ハミルトン、中で話があるから来い。

というのは、校長先生に呼び出される生徒といった感じで笑えますね。

家族テーマ以外でいうと、名声や成り上がり。これがハミルトンの苛立ちのもとなんですが、ワシントンとしては勝手に名誉を守られても困るわけで、

[Washington] My name's been through a lot; I can take it.
[ワシントン] 私の名前は不名誉や中傷もくぐり抜けてきた。私はそんなもの構わん。

ただし、ハミルトンとしては、ワシントンに倒れられたら自分も巻き添えをくって、ここまで這い上がってきたことが無になるわけで・・・。まあ、ワガママではありますが、こういう若者を使う以上は、しょうがないところかも。

ハミルトンの不満は実際には決闘云々とは関係なく、どちらかというと、戦場に出してもらえないことのほうに原因があるようです。

[Hamilton] If you gave me command of a battalion, a group of men to lead, I could fly above my station after the war.
[ハミルトン] もし大隊ひとつの指揮権をくださって、兵士たちを率いることができたら、私も戦後、はるかに高い地位につけるんですよ。

デスクワークでの貢献では、自分のような人間は目立てない。戦場に出てヒーローにならなければならないんだ、というわけです。ジェファソンなどは独立戦争中は(仕事はたくさんしていますけどね)逃げ回っていて、それでも第三代大統領になれたわけですが、"a bastard, orphan, son of whore"うんぬんのハミルトンの立場は別。

そんな焦りでいっぱいのハミルトンをなだめようと、ワシントンは「息子よ son」という言葉を連発しますが、ハミルトンにはこれが逆効果のようで、ついに切れてしまいます……。で、自宅謹慎に。

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