2017年3月17日金曜日

"19. History Has Its Eyes On You" from Hamilton: An American Musical

ハミルトン、ついに戦場へ、でも、その前に・・・。ワシントン将軍によるレクチャーを受けましょうね。 "19. History Has Its Eyes On You"。

<あらすじ>
「右腕」ハミルトンを呼び戻したワシントン将軍。戦場へ向かうハミルトンに自らの経験から学んだ大切なこと、自分たちの行為はいつも歴史に見られている、また、生き様は後の人間が語るのであって、自分がその成り行きを決めることはできないと伝える。

『ハミルトン』の全体の表テーマがはっきりと姿を現しました。ここまでも、"1. Alexander Hamilton"、"4. The Story of Tonight" などで、生きた証として業績(legacy)がどのように語られるか(あるいは語られないか)がちらほらとテーマとして仄めかされていましたが、「歴史」を擬人化することで、ワシントンがシンプルにこのテーマをまとめてくれます。

[Washington] I was younger than you are now when I was given my first command. I led my men straight into a massacre and I witnessed their deaths firsthand. I made every mistake and felt the shame rise in me, and even now I lie awake, knowing history has its eyes on me. 
[ワシントン] 最初に軍隊で指揮をとったのは、今のお前よりも若かった頃だ。部下たちを虐殺にまっすぐ送り込んでしまって、彼らの死をこの目で見ることになった。ありとあらゆる間違いを犯し、恥の意識でいっぱいになった、それで今でも、夜眠れないことがあるんだ。歴史が私を見つめていることを意識してな。

ワシントンが初めて指揮をとったのは、1754年。イギリス植民地とフランス植民地の境界に派遣されたワシントン中佐、当時22歳は、ヴァージニア民兵隊を指揮してフランス軍のパトロール隊を襲撃し、これが、フレンチ・インディアン戦争(1754-1763)、さらにそれがヨーロッパ大陸に飛び火して七年戦争(Seven Years' War; 1754-1763)、当時の列強国とその植民地を巻き込んだ大騒ぎを引き起こすことに。自分の部下たちを虐殺に、どころではないですがな・・・。この事件でよくも悪くも名を挙げたワシントンは、後の大陸軍将軍へとのぼりつめていきます。

[Washington] Let me tell you what I wish I'd known when I was young and dreamed of glory: you 
have no control who lives, who dies, who tells your story.
[ワシントン] 私がまだ若くて栄光の夢を見ていた頃に分かっていたらよかったと思うことをお前に伝えておく。誰が生きのび、誰が死に、誰がお前の物語を語ることになるかを自分で決めることはできないんだ。

"17. Meet Me Inside"で「私の名前は不名誉や中傷もくぐり抜けてきた」("My name's been through a lot")と語っていたように、将軍は生きている間にもいろいろイヤな思いもしてきたんでしょう。ただし、そうした経験なしにこのアドバイスが理解されるかははなはだ疑問。正直、そんなこと言われてもやることをやるしかないですしね・・・。


[Washington]  I know that we can win. I know that greatness lies in you. But remember from here on in, history has its eyes on you.
[ワシントン] 私たちが勝利できるのは私には分かっている。お前に偉大さが眠っているのもな。だがこれ以降は憶えておけ、歴史がお前を見つめているんだと。

この辺りのちょっと誇大妄想的な、ある意味とてもアメリカ合衆国的な発想は、若者ハミルトンにとって、よく分からなくてもテンションが上がるお言葉でしょう。歴史に見られてるでー、世界的な使命やでー、やったるでー、てなもんで、やる気がMAXになったところで、最終決戦、ヨークタウンの戦いへ——。

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